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前立腺癌について

前立腺癌

 前立腺は、膀胱と陰茎の間に位置する男性固有の器官で、精液の一部を作る働きを持っています。この前立腺から発生したがんが「前立腺がん」ですが、多くの高齢者に見られる、良性疾患の「前立腺肥大症」とは全く異なる病気です。
「前立腺肥大症」が将来「前立腺がん」に変化することはありませんが、「前立腺肥大症」と「前立腺がん」の両方がそれぞれ発生することはよくあります。「前立腺がん」は、欧米では男性のがんのなかで一番多いのですが(男性のがん全体の30%-40%程度)、ここ数年、日本においても急速に増えてきています。人種差に加え、食生活の影響が大きいと考えられています。
この数十年間、日本人の食生活が欧米化していることもあり、前立腺がんの増加率は日本のがんの中でも最も高く、2040年から2050年ころには日本人の男性のなかで最も多いがんになるとの統計学的な推測もあります。
前立腺がん比較的高齢で発見されることが多く、50歳以下の方にはほとんどみられません。また、男性ホルモンとの関係が深く、男性ホルモンを減らす、あるいはその働きをブロックすることで前立腺がんの進行を抑えることが出来ます。

前立腺がんの検査

 

血中PSA(前立腺特異抗原)

正常4ng/ml以下。前立腺がんが存在すると高くなることがほとんどです。前立腺がん以外でも前立腺の炎症や前立腺肥大症でも値が高くなることがあります。毎年測定しているPSAが徐々に上昇してきている場合などでは、4ng/ml以下でも精密検査を勧めることがあります。逆に、80歳以上の方では、精密検査をせずに様子を見る場合もあります。

 

直腸診

肛門から指を入れて前立腺を触診する検査法です。

経直腸超音波検査(エコー)、MRI

前立腺がんが疑わしいか否か、前立腺がんが存在した場合の広がりをみるのに有用です。しかし、すべての前立腺がんがわかるわけではありません。

前立腺生検

肛門から挿入する超音波装置で前立腺を観察しながら、18か所前立腺の組織そのものを少し取ってきて調べる検査です。実際の検査に要する時間は10-20分くらいです。できるだけ痛くないように麻酔をかけて行います。生検を行っても、本当はがんがあるのに見つけられない場合があります。その場合は、再生検が必要となることがあります。

前立腺がんの治療

 

前立腺生検の結果、前立腺がんと診断された場合、次には、がんの範囲、すなわち広がり具合を調べます。前立腺がんが周囲の臓器にまで及んでいないか(浸潤)、あるいは離れた部位にがんがないか(転移)、MRIやCT、ラジオアイソトープ(骨シンチグラフィー)などの画像検査を行うことになります。これらの画像診断と直腸診により前立腺癌の病期を診断しますが、さらにPSA値、前立腺生検による癌の占拠部位、推定される腫瘍体積、Gleason(グリーソン)スコア、患者さんの年齢や全身状態などを総合的に組み合わせて治療方法を考えていきます。前立腺癌の治療方法としては手術療法、放射線療法、内分泌療法、無治療経過観察があります。治療後も定期的に再発がないかをみるため、外来通院が必要です。

1.手術療法

前立腺癌に対する低侵襲手術として、ロボット補助下腹腔鏡下前立腺全摘術や腹腔鏡下前立腺全摘術(下腹部に5箇所の1~1.5cm程度の傷からポートと呼ばれる筒状の器具を留置して手術を行う)、開放前立腺全摘術があります。

2.内分泌療法(ホルモン治療)

通常75才以上の高齢者や、局所進行癌・転移を有する進行症例で手術・放射線治療では治療効果が望めない場合が適応となります。前立腺癌を増殖させるのは男性ホルモンといわれており、男性ホルモンを内服・注射で抑えていきます。

 

3.無治療経過観察

前立腺癌には臨床的に意義のない癌があります。偶発癌ともいいますが生命や生活を脅かすのに20年を要するともいわれています。特に平均余命10年以下の高齢者や全身状態の不良な症例に選択されます。定期的に血中のPSAを測定しながら経過をみていきます。PSAが上昇し、癌が進行していると考えられるときには積極的に治療を行うことになりますが、癌の進行に比べて治療のタイミングが遅れてしまう危険性はあります。

 

 再燃前立腺がん(去勢抵抗性前立腺がん)の治療

 

内分泌療法を長期に続けると、前立腺がん細胞が内分泌療法抵抗性になり、治療中にもかかわらずどんどん増殖するようになります。一般的に前立腺がんはおとなしく進行も遅いと考えられていますが、全てに当てはまるわけではありません。特に前立腺がんが内分泌療法抵抗性になった場合には性質が非常に激しく治療に難渋します。このような場合、新規ホルモン製剤のイクスタンジ(一般名・エンザルタミド、アステラス)やザイティガ(アビラテロン酢酸エステル、ヤンセン/アストラゼネカ) または抗がん剤による治療をお勧めしています。私たちはドセタキセル・カバジタキセルという薬剤を使用しています。患者さんの状態にもよりますが、初回は入院で、2回目からは外来通院での治療が可能です。約半数の方に効果があります。

 

当院では、PSA測定・前立腺生検・内分泌(ホルモン)治療・一部の方に化学療法を行っています。

前立腺・前立腺癌で悩まれたらご相談ください。

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